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  カメラマン 金戸 聡和氏による【CL76HO】製品レビュー

スチル・ムービーカメラマンとしてスポーツから広告写真撮影、CM撮影、ミュージックビデオ撮影、USTREAM配信などジャンルを問わず幅広く活動されている金戸聡和氏に7型マルチ入出力端子搭載デジタル一眼レフ・ビデオカメラ用液晶モニター【CL76HO】をご使用いただき、ご感想をいただきました。

  • 2008年のCanon EOS 5D MarkⅡの登場から早や4年。2012年に入ると次の世代の後継機が登場し、DSLR市場が再び活気を帯びている。しかし、多くの後継機は画質に関して大幅に改善されたが、インターフェイスは大きく変わらず、特に不満が多かったDSLRのモニタリング環境に大きな変化がなかったことが残念であった。5D MarkⅡの登場時から背面液晶モニターの視認性の悪さ、ムービー撮影に不向きなことは挙がっており、今回の改良で手をほとんど加えられなかったのは残念であった。モニタリングはカメラマンの目であり、適正露出を得ることとフォーカシングを司る重要なファクターだ。だからこそ、DSLR撮影の欠点を補う意味でも外部液晶モニターは後継機が発売された今でも重要なアクセサリーの1つである。

    なぜDSLRのモニタリングが難しいかと言うと、広いダイナミックレンジと浅い被写界深度にある。ビデオユーザーからすると、DSLRのダイナミクレンジは広く、同じ感覚で撮影を行いにくい。広いレンジだからこそ、感度の中に入れたい情報量も多くなり、シビアな適正露出が必要なのだ。そして被写界深度が必然的に浅くなるのはご存知の通りだろう。逆に言うと、「適正露出」と「フォーカシング」さえしっかりできれば、DSLRは難しくないと感じている。また、DSLRの多くのサンプリングレートは4:2:0の8bitのため、撮影素材のカラコレなどできる範囲は実のところ限られている。そのため、現場で100点に近い画が要求される。だからこそ、撮影素材の質を上げるために外部モニターが用意であり、国内・海外問わず多くのモニターが存在している。そこで今回、新たに発売されたモニター「CL76HO」を使用して撮影を行わせて頂いたが、その性能とそれに相反する価格には驚かされた。

    まず、「CL76HO」には優れたフォーカスピーキング機能が搭載されていることに驚かされた。フォーカスピーキングとはフォーカスを合わせたい被写体のエッジ部分にピンクに枠がつくものでフォーカスの位置を決めるガイドとして使用するものだ。しかしほとんどのDSLRに搭載されておらず、ピーキングを表示するためには外部モニターで補わなければならない。浅い被写界深度を要求されるDSLRだからこそ、デフォルトでピーキング機能は必然だろう。ただし、絞りを開けている場合は必ずカメラの拡大表示機能でフォーカスを見るようにし、ダブルチェックを行うといい。またREC中の拡大表示ができない機種もある。簡単なインタビューでさえ、被写体が動くとフォーカスが大きく外れるDSLRでは、ピーキングを常にONにして撮影モニタリングを行うと更にいいだろう。また、屋外での撮影ではサンシェードをしていてもモニターの視認性は落ちるが、「CL76HO」のピーキングは非常にわかりやすく、信頼を置いて撮影を行えたのは嬉しかった。

    また適正露出を決めるための機能も「CL76HO」には充実している。「クリップガイド」と「フォールスカラー」機能の2つが搭載され、より安定した適正露出を得ることができるのだ。「クリップガイド」は、ビデオユーザーならお馴染みの露出オーバーの場所にアラートが入るゼブラ機能に、露出アンダーのアラートが追加された、オーバーとアンダーを同時にチェックできる機能である。前述のようにカメラ背面液晶では細かい露出の階調が認識しにくく、カメラでのヒストグラム表示がDSLR撮影では必然となる。しかしそのヒストグラム表示が意外と大きく画面占有率も高いため、フレーミングの際に邪魔になる場合もある。その悩みを解消してくれるのが、「クリップガイド」だ。露出オーバーをピンク、アンダーをブラウンで表示するため、安心して露出補正が行える。更に、黒つぶれを0%、白トビを100%として何%からアラートを出すかという「ルマアンダー(オーバー)警告」機能も使えるため、撮影状況に応じてアラートを調整できる。アンダーもオーバーも同時に表示するため、意外とこの機能の使用率は高い。実際、REDONEカメラなどハイエンドカメラではモニターにデフォルトでついている機能であるため、ヒストグラム内に情報を入れるという作業において、非常に有効的な機能だと感じている。また、屋外の撮影ではどうしても白飛びが怖いのがカメラマンの心情のため、少しだけ露出アンダーで撮影したい時は、あえて80%くらいでアラートを表示させておけば、安心して撮影を行えるのである。

    また、「フォールスカラー」機能では露出アンダーからオーバーまでの全ての階調を色で識別し、フレーム内の全ての部分の露出がわかるようになっている。この機能が最も生かされる場所として、屋外での人物撮影があげられる。例えば、昼間の屋外撮影で背景の空をどうしても飛ばしたくない場合、露出を下げて行くと、人物の表情の露出も下がって行く。空か人物どちらを優先させて撮影するか、その場合にこのフォールスカラーは有効的だ。もし仮に、被写体の露出がアンダーであるとすぐにわかれば、レフ板などで露出補正をするようにしている。

     これらの機能は、2つあるファンクションボタンに使用率の高い設定をアサインできるため、ボタン1つでON/OFFが可能だ。REC直前にスピーディに露出の確認を行えるため、非常に有効なツールだろう。さらに、ユーザー設定機能があり、全部で5パターンのモニター設定をメモリーできるため、屋外用/屋内用や風景用/人物用など自分の目に慣れている環境をセーブしておくこともいいだろう。

    今回は適正露出とフォーカスに関して注目をしてみたが、この他にも多くの機能を「CL76HO」は搭載している。決してDSLRだけに特化しているわけではないが、DSLRのアスペクト比に合わせてモニタリングできる機能もあるため、是非一度使って頂くとその性能の良さがわかるだろう。またこれほどまでに多彩な機能を搭載しているのにも関わらず、価格も非常に安い。コストパフォーマンスにも優れているため、DSLRユーザーなら買っていいモニターである。

  • USTREAM「Adobe映像塾 シーズン3 プレ放送」での撮影


    こちらから動画もご覧頂けます。
    http://www.ustream.tv/recorded/24052758



  •          REDカメラへの接続                    サポートアームとの組み合わせ

  • カメラマン 金戸 聡和氏プロフィール
    1982年 東京都生まれ
    2008年 株式会社マリモレコーズ入社
    スチル・ムービーカメラマンとしてスポーツから広告写真撮影、CM撮影、ミュージックビデオ撮影、
    USTREAM配信などジャンルを問わず活動中。主にデジタル一眼レフやRED ONEカメラなどを使用。

    株式会社マリモレコーズ
    URL:  http://www.cybermarimo.com/